この記事は『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』として書籍化されています。
登場人物紹介
僕:数学が好きな高校生。
ユーリ:僕のいとこの中学生。 僕のことを《お兄ちゃん》と呼ぶ。 論理的な話は好きだが飽きっぽい。
ユーリ「ねえ、お兄ちゃん。おもしろいクイズないの?」
僕「もう飽きたのか、早いなあ」
ユーリは僕のいとこ。 さっきまで僕の本棚で読み物を物色していたが、 もうあきらめたらしい。
ユーリ「だって、最近あたらしい本増えてないじゃん。 もう全部読んじゃったよ」
僕「さすがに、そんなことはないだろ?」
ユーリ「読みたい本は全部読んじゃったってこと。 残っているのは読みたくない本だから、意味ないのー! ねー、おもしろいクイズない? ややこしー数式が出てこなくて、 でも単純じゃなくて、引っ掛け問題でもなくて、 わくわくするクイズ」
僕「ハードルいきなり上げるなよ。じゃ、こういうクイズは?」
クイズ
$2$ 乗すると $9$ になる数は何か?
ユーリ「……ねー、お兄ちゃん。 ユーリはちゃんと《単純じゃなくて》っていったよね!」
僕「単純すぎた?」
ユーリ「あったりまえじゃん。 $2$ 乗すると $9$ になるのって、 $3$ と $-3$ でしょ?」
僕「そうだね。正解! よく $-3$ を忘れなかったね!」
$$ \begin{align*} 3^2 &= 3 \times 3 = 9 \\ (-3)^2 &= (-3) \times (-3) = 9 \\ \end{align*} $$ユーリ「あんまりホメられた感じがしない。簡単すぎるもん」
クイズの答え
$2$ 乗すると $9$ になる数は、 $3$ と $-3$ である。
僕「じゃ、もっと難しくしようか」
ユーリ「$2$ 乗して $16$ になるのは $4$ と $-4$ だし、 $2$ 乗して $25$ になるのは $5$ と $-5$ だよ。 その系列はやめてね」
僕「話を先取りするなよ……それじゃ、こういうクイズは?」
クイズ
$2$ 乗しても変わらない数は何か?
ユーリ「簡単、簡単! $1$ だね。 $1^2 = 1$ で変わらないから」
僕「ほんとう?」
ユーリ「む。その《先生トーク》はユーリがまちがっているってことだ!」
僕「探り入れるなよ」
ユーリ「わかった。 $1$ だけじゃないや、 $0$ もだ。 $0^2 = 0$ で変わらない」
僕「そうだね」
$$ \begin{align*} 0^2 &= 0 \times 0 = 0 && \REMTEXT{$0$を$2$乗しても変わらない} \\ 1^2 &= 1 \times 1 = 1 && \REMTEXT{$1$を$2$乗しても変わらない} \\ \end{align*} $$ユーリ「ま、ちょっとしたまちがいは誰にでもあるもんだよ」
僕「それを自分で言うのか。ところで、 $0$ と $1$ 以外にあると思う?」
ユーリ「何が?」
僕「だから、 $2$ 乗しても変わらない数だよ。 確かに $0$ は $2$ 乗しても値が $0$ のままで変わらないし、 $1$ は $2$ 乗しても値が $1$ のままで変わらないよね」
ユーリ「うん、 $2$ 乗してみればわかるじゃん」
僕「でも、 $0$ と $1$ 以外に、そういう数はないんだろうか。 $2$ 乗しても値が変わらない数は、他にないんだろうか」
ユーリ「むむ……その《先生トーク》からすると、 思いがけないところにそーゆー数があるんだね?」
僕「ねえ、ユーリ。そういう探りを入れるのはやめようよ」
ユーリ「へーい……でも、 $0$ と $1$ の他にはもうないと思うけど」
僕「ユーリはどうしてそう思ったんだろう」
ユーリ「だって、なさそーだもん。 あのね、マイナスの数って $2$ 乗したらプラスになっちゃうじゃん? さっきの、 $$ (-3)^2 = 9 $$ みたいに。ってことは、 マイナスの数は《$2$ 乗しても変わらない数》にはならない」
僕「なるほど。それはそうだね」
ユーリ「プラスの数だってそーだよ。たとえば、 $2$ 乗したら、 $3$ は $9$ になるじゃん? $$ 3^2 = 9 $$ 《$3$ は $9$ になる》ってことは、 $2$ 乗したら自分より大きくなっちゃうから《$2$ 乗しても変わらない数》にはならない……あ、 小さくなることもある。 $0.1$ とか。 $$ 0.1^2 = 0.01 $$ 《$0.1$ は $0.01$ になる》んだから、小さくなる。 例外は $0$ と $1$ だけでしょ。 $0$ を掛けたら何でも $0$ だから、 $0$ に $0$ 掛けても $0$ のままだし、 $1$ に $1$ 掛けても大きさ変わらないから $1$ のまま」
僕「うん、ユーリは数の大きさに注目したんだね。
ユーリ「あー、そだね。そーなるね」
僕「こんな考え方もあるよ。 クイズの内容を方程式にしてしまうんだ」
ユーリ「ほーてーしき」
僕「《$2$ 乗しても変わらない数》というのは《言葉》で表しているけれど、 それを《数式》に置き換えて表してみよう。 $2$ 乗しても変わらないというのは、 その数を $x$ と置いたとき、 $x^2$ と $x$ とが等しいといえる。 だから、《$2$ 乗しても変わらない数》を $x$ と置くと、 $$ x^2 = x $$ という $x$ に関する方程式ができる」
ユーリ「ほほー。出たな数式マニア……ってほどじゃないか」
僕「ほどじゃないね。 これで《言葉》から《数式》に移されたことになる。 あとは方程式を解いていけばいい」
$$ \begin{array}{ccrcl} & \quad & x^2 &=& x \\ \Leftrightarrow & & x^2 - x &=& 0 \\ \Leftrightarrow & & x(x - 1) &=& 0 \\ \Leftrightarrow & & x = 0 &\,\REMTEXT{または}\,& x - 1 = 0 \\ \Leftrightarrow & & x = 0 &\,\REMTEXT{または}\,& x = 1 \\ \end{array} $$ユーリ「……」
僕「これで、 $x^2 = x$ を満たす $x$ は $0$ と $1$ しかないことがわかった」
ユーリ「お兄ちゃん、いま式をサクサク書いたけど、この、 $$ \Leftrightarrow $$ はいったい何?」
僕「え? 話したことなかったっけ。 これは、 $$ P \Leftrightarrow Q $$ と書いたとき、左右の条件 $P$ と $Q$ とが《同値》であることを表す記号だよ。 数学の式変形で使うときには、 数式を《同値変形》していくときにこういう書き方をすることがある」
ユーリ「どーち?」
僕「うん、まずね、矢印は $\Rightarrow, \Leftarrow, \Leftrightarrow$ の三種類がある」
「$P$ ならば $Q$」は「$P \Rightarrow Q$」と書く。
「$Q$ ならば $P$」は「$P \Leftarrow Q$」と書く。
「$P$ ならば $Q$ で、しかも、 $Q$ ならば $P$」は「$P \Leftrightarrow Q$」と書く。
僕「この最後の場合、つまり $P \Leftrightarrow Q$ が成り立つとき、 条件 $P$ と条件 $Q$ は《同値》というんだ。 そして、 $P$ と $Q$ が数式で書かれているとき、 $P$ を表す数式を $Q$ を表す数式に変形させることを《同値変形》 と呼ぶことがある」
ユーリ「うーん……お兄ちゃん、それってあたりまえのことを難しく言ってる?」
僕「あたりまえってことはないと思うけど」
ユーリ「だってね、 $$ \begin{array}{ccrcl} &\qquad& x^2 &=& x \\ \Leftrightarrow & & x^2 - x &=& 0 \\ \end{array} $$ というのがあったとするじゃん? これって $x$ を移項したってことでしょ?」
僕「そうだね、その通り」
ユーリ「それって、あたりまえじゃないの?」
僕「移項はあたりまえに見えるけれど、 さっきの問題を考えるときには、同値かどうかを意識するのは大事なんだよ。 もともとの疑問はこうだったよね。
$0$ と $1$ は $2$ 乗しても変わらない。
では、
$2$ 乗しても変わらないのは $0$ と $1$ だけか?
ユーリ「そだね」
僕「いま言葉で表したことを $\Rightarrow$ を使って整理するね。 $$ \REMTEXT{(A)}\qquad \REMTEXT{《$x = 0$または$x = 1$》} \Rightarrow \REMTEXT{《$x$は$2$乗しても変わらない》} $$ この$\REMTEXT{(A)}$は成り立っていることはわかったけれど、 $$ \REMTEXT{(B)}\qquad \REMTEXT{《$x = 0$または$x = 1$》} \Leftarrow \REMTEXT{《$x$は$2$乗しても変わらない》} $$ この$\REMTEXT{(B)}$は成り立っているだろうか?」
ユーリ「ほほー。にゃるほど。$\REMTEXT{(A)}$と$\REMTEXT{(B)}$で、矢印の向きが《逆》になってる」
僕「そこだよ。まさにこれは《逆》というんだ。 $\REMTEXT{(A)}$の逆が$\REMTEXT{(B)}$で、 $\REMTEXT{(B)}$の逆が$\REMTEXT{(A)}$だね。 《$2$ 乗しても変わらない数が $0$ と $1$ 以外にあるだろうか》という問いは、 $\REMTEXT{(B)}$を確かめる問題になるわけだ。 そこで、数式の同値変形が大事になる」
ユーリ「なんで?」
僕「$\REMTEXT{(A)}$と$\REMTEXT{(B)}$の両方が成り立つなら、 $$ \REMTEXT{(C)}\qquad \REMTEXT{《$x = 0$または$x = 1$》} \Leftrightarrow \REMTEXT{《$x$は$2$乗しても変わらない》} $$ ということだからね。 《$x$ は $2$ 乗しても変わらない》ということを、 $x^2 = x$ という数式で表す。 そこから同値変形を続けていって、 《$x = 0$ または $x = 1$》にまでたどりつけるかどうか……それが大事になるからだよ」
ユーリ「同値変形って意識したことないよー」
僕「え?! 数式の《移項》や《展開》や《因数分解》なんかは、 ぜんぶ同値変形を作り出してるんだよ。 大事だから習ってるし、練習してる」
ユーリ「そっか。まーそれはいーとして、同値じゃない変形ってのもあるの?」
僕「もちろん、たとえば $x = y$ の両辺を $2$ 乗するような式変形。これは同値変形にならない」
$$ x = y \qquad \Rightarrow \qquad x^2 = y^2 $$ユーリ「?」
僕「《$x = y$ が成り立つならば、 $x^2 = y^2$ が成り立つ》とはいえるよね。 でも、《逆》はいえない」
ユーリ「そゆことか。 $3^2 = (-3)^2$ はいえても、 $3 = -3$ とはいえないから?」
僕「そういうこと!」
僕「ところで、グラフで考えると《$2$ 乗しても変わらない数》は $0$ と $1$ しかないことがよくわかるよ」
ユーリ「グラフで考える?」
僕「うん。ほら、 $y = x^2$ のグラフが放物線になるって話は知ってるよね。 こういうグラフ」
$y = x^2$ のグラフ(放物線)
ユーリ「うん。わかる」
僕「この放物線の方程式は $y = x^2$ だから、 この放物線の上にある点は必ず $y = x^2$ という式を満たしていることになるよね」
ユーリ「えーと? ……うん。いーよ。 $(0,0)$ とか $(2,4)$ とか $(3,9)$ とか?」
僕「そうそう。そして、この放物線のグラフに重ねるようにして、 $y = x$ という直線のグラフを描いてみる」
放物線 $y = x^2$ と直線 $y = x$ のグラフ
ユーリ「ふんふん?」
僕「この直線の方程式は $y = x$ だから、 この直線上の点は、 $y = x$ という式を満たしていることになる」
ユーリ「あ、わかってきた……」
僕「そこで、放物線 $y = x^2$ と、直線 $y = x$ の交点を考える。 すると、交点は、放物線と直線の《両方》の上にあるわけだから、 $y = x^2$ と $y = x$ の両方の式を満たす」
$$ \left\{\begin{array}{llll} y &= x^2 && \REMTEXT{放物線} \\ y &= x && \REMTEXT{直線} \\ \end{array}\right. $$ユーリ「……連立方程式だ!」
僕「そうだね! その通り。 だから、《放物線と直線の交点を求める》というのは、 《この連立方程式を解く》ということになる。 そしてグラフを見ると、交点は $2$ 個しかない。 $x = 0$ のときと、 $x = 1$ のときと」
交点は $2$ 個
ユーリ「にゃーるほど。だから、《$2$ 乗して変わらない数》ってゆーのは $0$ か $1$ といえる?」
僕「そうなるね。その二つしか交点がないから」
ユーリ「ふむふむ」
僕「それから、このグラフをよく見ると、 さっきの場合分けがどこに出てくるかもよくわかる」
ユーリ「さっきの場合分けって何だっけ」
僕「ユーリが考えたやつだよ。
ユーリ「そっか!」
僕「放物線が直線より上の方になっているのは、 $x^2 > x$ になるところだよね。 そして、放物線が直線より下の方になっているのは $x^2 < x$ になるところ」
ユーリ「ははー、そだね。そして、交点のところはちょーど $x^2 = x$ になるところ!」
僕「そうそう、そういうこと。こんなふうに《グラフ》で表すと、 目で見て確かめることができる。なかなかいいよね」
ユーリ「……」
僕「数学だと、よくこういうことがあるよ。 《言葉》を使って表したり、 《数式》を使って表したり、 それからいまのように《グラフ》を使って表したり。 同じことでも、違った表し方をすると新しい発見があるんだね……って、これも《先生トーク》認定されそうかな。ははは」
ユーリ「……」
僕「ねえ、ユーリ?」
ユーリ「あのね? 他のグラフってない?」
僕「他のグラフ?」
ユーリ「いま、ほら、 $x$ と $y$ のグラフを描いたじゃん? $x$ と $x$ のグラフみたいなのってない?」
僕「$x$ と $x$ のグラフ……ごめん、何のことだかわからないなあ」
ユーリ「えー、ほら、お兄ちゃんが描いて教えてくれたじゃん。《マイナス×マイナス》のとき」
僕「よく覚えてないけど、描いてみてよ」
ユーリ「たとえば $3$ に $-1$ を掛けるとするじゃん? $$ 3 \times (-1) $$ そーすると、 $3$ のところにあった点が、パタンと回って $-3$ に来るでしょ?」
$3$ は、パタンと回って $-3$ に来る
僕「そうなるね。 $-1$ を掛けたら」
ユーリ「だから《$-1$ を掛ける》ってゆーのは《パタンと回す》ことと同じ……って教えてくれたじゃん。 このグラフで」
僕「ああ、そういうことか。これはグラフとはいわなくて、数直線だよ」
ユーリ「何でもいーけどさ。そんで、これを使えば、マイナス×マイナスがプラスになるのは、 すごく納得いく。 だって、《$-3$ に $-1$ を掛ける》ってゆーのが《$-3$ の点をパタンと回す》ことなら、 確かに $3$ になるから!」
$-3$ をパタンと回したら $3$ に来る
僕「そうだね。とても納得いくよね……これのことを思い出してたの?」
ユーリ「そだよん。 いまのは、 $3$ に $-1$ を掛けてパタンパタン動かしたけど、 もしも、 $2$ 乗したら、どんな動きになるかにゃあ……って、考えてたの」
僕「なるほど! ユーリ、おもしろいこと考えたなあ!」
数直線上の数を $2$ 乗したら、 それぞれの点は、どこへ移動するだろうか。
ユーリ「さっきから考えてたんだけど、これってそんなに難しくないよね?」
僕「そうだね」
ユーリ「$0$ と $1$ は、すぐにわかるの。 だって、この点は $2$ 乗してもまったく動かないわけでしょ?」
僕「うんうん、そうなる。不動点だ。そして数直線上で不動点なのはその $2$ つだけだね!」
$0$ と $1$ は $2$ 乗しても動かない
ユーリ「それから、 $x > 1$ にある点は、 $2$ 乗するとすんごく遠くに行くの。右のほうに。 右にある点ほど、ずっと右に行くんだよ。だって $2$ 乗だから」
$x > 1$ の点はずっと右に
僕「そうなるね。 $2$ は $4$ に、 $3$ は $9$ に、 $4$ は $16$ に……そして、 $10$ は $100$ に」
ユーリ「$0 < x < 1$ の点がちょっと言いにくいんだけど、 $0$ の方にぎゅっと押しつけられる感じ? しかも、左にある点ほど、ずっと $0$ に近づくの」
僕「確かに。 $\frac12$ は $\frac14$ に、 $\frac13$ は $\frac19$ に……」
$0 < x < 1$ の点は $0$ に近づく
ユーリ「そんで、残りはマイナスだけど、これはカンタン。 だって、パタンと回した後で、さっきと同じことすればいーから」
僕「そうなるね。ということは、 $x < -1$ の点は、ずっと右に行き、 $x = -1$ の点は $x = 1$ に重なり、 $-1 < x < 0$ の点は $0$ に近いものほど、もっと $0$ に近づく」
$x < 0$ はパタンと回して考える
僕「……ユーリのおもしろい話で、お兄ちゃんも気付いたよ。 さっきの放物線のグラフとの関係」
ユーリ「何のこと?」
僕「いまユーリは数直線上の $x$ を $x^2$ に移すっていう問題を考えたよね。 $0$ と $1$ だけ不動点で、あとはいろいろ動いた」
ユーリ「そだね。いろいろね」
僕「その《動き》は、さっきの放物線のグラフから読み取れるんだよ。 まあ、あたりまえのことだけど」
ユーリ「何言ってるかわかんない」
僕「たとえば $a$ が $a^2$ に動くのはこんな感じになるよ。
グラフを利用して、 $a$ の点から $a^2$ の点を得る
ユーリ「うーん、それは何で?」
僕「垂直線と放物線との交点を求めるところで、 $a$ から $a^2$ はもう求められたんだけど、 できた $a^2$ の値は $y$ 座標として表されている。 その $y$ 座標を $x$ 座標に移すために直線 $y = x$ を使ったんだよ」
ユーリ「なーるほど。放物線にぶつかって、直線にぶつかって、戻ってくるんだ」
僕「$x < 0$ の数いくつかで試してみよう」
ユーリ「確かにー!」
僕「この図を使うと、もっとわかることがあるよ。 $x$ 座標が $a$ になっている点は、 $2$ 乗すると $a^2$ に動く。 だったら、 $2$ 乗すると $b$ に動いてくる点は、もともとどこにあったか?」
ユーリ「……ははーん。反対にたどるんでしょ!」
僕「そうだね。ただし、もともとの点は一つとは限らない。 反対にたどると、放物線と $2$ 点で交わるときがあるからね」
ユーリ「そーだね!」
僕「反対にたどってみよう」
グラフを利用して、 $b$ の点から $-\sqrt{b}$ と $\sqrt{b}$ を得る
ユーリ「$9$ から始めたら、 $-3$ と $3$ に戻ってくる?」
僕「そういうことになる。 $-\sqrt{9} = -3$ で $\sqrt{9} = 3$ だからね。ちゃんと $2$ つの答えが出てくる。 数を $2$ 乗するときに起きることが、 こんなふうにグラフに現れてくるのは楽しいね!」
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(2016年7月8日)
この記事は『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』として書籍化されています。
書籍化にあたっては、加筆修正をたくさん行い、 練習問題や研究問題も追加しました。
どの巻からでも読み始められますので、 ぜひどうぞ!