僕とテトラちゃんが
教室でカバンを片付け、 そろそろ図書室に行こうかなと思っていると、ミルカさんがやってきた。 ミルカさんは僕のクラスメート。数学が得意な才媛である。
ミルカ「まだいたのか」
僕「これから図書室に行こうと思ってたんだよ。ミルカさんは?」
ミルカ「村木先生から《カード》をもらってきた」
村木先生のカード
実数全体を定義域とする関数
このとき、
僕「指数関数を組み合わせて
ミルカ「ふむ」
僕「村木先生にしてはめずらしいね」
ミルカ「なにが」
僕「普通の計算問題をミルカさんに渡してきたってことだよ」
ミルカ「そう?」
僕「うん、だってこれなら問題集にも出てきそうな《力わざ》の計算だよね」
ミルカ「そうもいえる」
僕「解いてもいい?」
ミルカ「好きに」
教室には僕とミルカさんしかいない。 黒板に向かい、僕は問題を解き始めた。 ミルカさんは最前席で机に腰掛け、足を組む。
僕「やることは明確だよね。関数
ミルカ「ふむ」
僕「そして関数
ミルカ「……」
《僕の板書1》
僕「ここまでで
ミルカ「ふむ」
《僕の板書2》
僕「ここまでで
ミルカ「そして順調に減点だな」
僕「え? どこか違ってた?」
ミルカ「君は式変形の途中で
僕「割ったけど……おっと! 《ゼロ割》の危険性か!」
ミルカ「そう」
僕「確かに……ええと、
《要確認》
実数全体を定義域とする関数
このとき、
ミルカ「まあこれはすぐにわかるが」
僕「そうかなあ」
ミルカ「これこそ計算問題」
僕「……あ、そうだね。単に式を書いてみればいいだけか」
《僕の板書3》(《要確認》を考える)
分子が
《要確認》の答え
ミルカ「ふむ」
僕「だから
ミルカ「では、先に進もう」
僕「えっと、
ミルカ「……」
僕「村木先生のカードでは、
ミルカ「急ごう」
僕「はいはい」
《僕の板書4》(
上の式の右辺を
ここまでで準備ができた。
僕「
村木先生のカード(解答)
ミルカ「そうだね。ちゃんと出てきた」
僕「出てきたって、何が?」
ミルカ「《倍角公式》だよ」
僕「倍角公式?」
ミルカさんは何を言ってるんだろう。
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