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第467回 シーズン47 エピソード7
関係と関係の関係(前編)

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登場人物紹介

:数学が好きな高校生。

テトラちゃんの後輩。 好奇心旺盛で根気強い《元気少女》。言葉が大好き。

もう一つのじゃんけん

テトラちゃんは、 《関係》を《集合》で表すことについておしゃべりを続けている。

《関係》を《集合》で表すと、 思いがけない二つのものに共通点が見つかるという話題だ。

いまはちょうど、 《$1$ を足して $3$ で割った余りを得る関数 $f$》 と 《じゃんけんの勝ち負け》 とを同一視できたところ(第466回参照)。

関数 $f$ を《表》で表す

じゃんけんを《表》で表す

(行の手に対して列の手が勝ったときに○、負けるかあいこのときに×)

「なかなか楽しいね。 《ひょう》を見れば当たり前なんだけど、 ちゃんと《集合》として等しくなることが確かめられる(第466回参照)」

テトラ「おもしろいと思います。 じゃんけんの手を数で表すというのは不思議じゃありませんけど、 うまく対応づけるとぴったり同じになるというのがいいですね。 じゃんけんの勝ち負けと関数……」

「そうだね」

テトラ「……ちょっとお待ちください。 うまく対応づけることができれば良いんですよね?」

テトラちゃんはそういうと、何かを書き始めた。

「?」

テトラ「たとえば、 こういう《表》でもじゃんけんを表現しているものと同じになりますね」

テトラの《表》

「え、ああ、うん、そうだね。 これもじゃんけんを表現した《表》と同一視できるよ。 《表》の中の○と×の配置が同じだから」

テトラ「ですよね!」

「ねえ、でもテトラちゃん。 この漢字は、いったい何?」

テトラ「何だと思います?」

「《伍》と《弐》と《零》……?」

テトラ「簡単なクイズですよ、先輩っ!」

クイズ

この《表》に、あたしが書いた漢字は何を表しているでしょうか?

「……」

テトラ「……どうです?」

「わかった、なるほどね。 これは《じゃんけんの手》と《指の数》を対応させたんだね」

テトラ「そういうことです!」

  • 》は $5$ で、じゃんけんの《パー》に対応(指を $5$ 本立てる)
  • 》は $2$ で、じゃんけんの《チョキ》に対応(指を $2$ 本立てる)
  • ぜろ》は $0$ で、じゃんけんの《グー》に対応(指を $0$ 本立てる)

「確かに、こういう対応を付ければじゃんけんそのものになる。 そしてもちろん、じゃんけんの勝ち負けとも対応がつけられるね」

テトラ「はい。 こうやって自分で新しい例を作ってみると、 《関係》を作るということと《お友達》になれた感じがします」

「なるほど……これは、 $$ A = \SET{\text{伍},\text{弐},\text{零}} $$ という集合を考えて、 $A \times A$ の部分集合として、 $$ K = \SET{(\text{伍},\text{弐}), (\text{弐},\text{零}), (\text{零},\text{伍})} $$ を作ったことになるんだね(第466回参照)。 伍と弐では弐が勝つ。弐と零では零が勝つ、零と伍では伍が勝つ」

テトラ「そういうことです! 実は最初、ローマ数字で表してみようと思ったんですよ。 いつものアラビア数字ではつまらないので」

「なるほど?」

テトラ「《パー》は $5$ なので『V』を使い、《チョキ》は $2$ なので『II』を使って……とも考えたんですが、 《グー》で駄目なことに気付きました」

「どうして?」

テトラ「ローマ数字には『ゼロ』がないんです!」

対応と理解

テトラちゃんの《グーチョキパー》の表を見ながら少し考えた。

「テトラちゃんの例を見ていて気付いたんだけど、 僕たちは、無意識のうちに対応付けをしていることになるんだね」

テトラ「《対応付け》と、いいますと?」

「テトラちゃんの《表》から、僕は $$ K = \SET{(\text{伍},\text{弐}), (\text{弐},\text{零}), (\text{零},\text{伍})} $$ という集合を作った。そして、確かにじゃんけんと同じだと思った」

テトラ「そうですね。じゃんけんの勝ち負けの関係を表す集合は、 《パー》を $0$ 、《チョキ》を $1$ 、《グー》を $2$ で表すと $$ J = \SET{(0,1),(1,2),(2,0)} $$ です(第466回参照)。 同じように、 集合 $K$ で 《パー》を表す《伍》を $0$ 、 《チョキ》を表す《弐》を $1$ 、 《グー》を表す《零》を $2$ で表した集合 $K'$ は $$ K' = \SET{(0,1),(1,2),(2,0)} $$ になって、 $J = K'$ ですね」

「ほらそこ!」

テトラ「どこでしょう?」

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(2026年4月3日)

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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki


『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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