登場人物紹介
僕:数学が好きな高校生。
ユーリ:僕のいとこの中学生。 僕のことを《お兄ちゃん》と呼ぶ。 論理的な話は好きだが飽きっぽい。
ここは僕の部屋。ユーリと僕は、論理についてのおしゃべりをしている。
僕「命題は真か偽か判断できる。真の命題と偽の命題という
ユーリ「しんりちひょう」
僕「命題
ユーリ「
僕「そうだね。
ユーリ「ふんふん。これ、見たことある」
僕「まあ、よく書くからね」
ユーリ「……これって、命題
僕「そうだよ」
ユーリ「これって《計算》してるみたい」
僕「そうだね! その通り。その考えで合ってるよ。真と偽という
ユーリ「んー、だったら、真理値表って、こー書いてもいいね!」
僕「いいねえ!」
ユーリ「ね! 九九の表みたい! ……あ、思い出した。ほら、リサ姉のこと」
僕「リサちゃん?」
ユーリ「あのね、双倉図書館でリサ姉からお話聞いたとき、同じ計算が出てきた!」
僕「いつのことだろう……」
ユーリ「お兄ちゃんはいなかったよ。インフルインフル。双倉図書館(ならびくらとしょかん)の 《変幻ピクセル》イベント(第103回参照)」
僕「ああ、あのとき?」
ユーリ「そんときは、《ビット単位の論理積》てゆーのがあった。 《かつ》と同じだよ」
論理積(ビット単位)
僕「確かにそうだね。
論理積(かつ)
ユーリ「同じ計算だ」
僕「そうだね。文字の置き換え、記号の置き換えをするだけで、 完全に入れ替わるってことは、同じ計算といえるよね」
ユーリ「『もしかして』」
僕「『わたしたち』」
ユーリ「『いれかわってる〜?』」
僕「時事ネタ自重!」
ユーリ「お兄ちゃんのノリツッコミ初めて見た」
僕「まじめに行こう」
ユーリ「あのね、
《変幻ピクセル》イベントで、
リサ姉が機械見せてくれたの(第103回参照)。
紙をスキャンして、
色が黒いところが
僕「なるほどね。それは計算結果を図形の色に対応させてるんだ」
ユーリ「そんな感じ」
ユーリ「否定と、《かつ》と、それから《または》でしょ?」
僕「そうだね。命題を扱う命題論理だと、その
ユーリ「お兄ちゃんから聞いたことある。 少なくとも片方が真のときだけ、全体が真になるんでしょ?」
僕「そうだね」
ユーリ「ビット単位の論理和ってゆーのもあったよ!」
論理和(ビット単位)
僕「それに合わせて、
論理和(または)
ユーリ「こっちも、《
僕「そうだね。同じ計算をやってるように見えるね」
ユーリ「あれ? もしかして……」
僕「もう時事ネタはいいよ」
ユーリ「違うの! そーじゃなくて、思いついたの!」
僕「何を?」
ユーリ「同じなの! 《かつ》と《または》って同じ計算じゃん!」
僕「?」
ユーリ「置き換えちゃう。
僕「書いてみようよ」
置き換えたらどうなる?
真理値表の置き換え
ユーリ「ね? ね? でしょでしょ?
僕「まったくその通り! すごいな!」
ユーリ「ねー、これって大発見?」
僕「そうだね! ユーリのこの発見は、 《ド・モルガンの法則》の言い換えになっているよ」
ユーリ「なにそれ」
僕「ド・モルガンの法則っていうのは、 論理の法則の一つだよ。 真偽を交換することと、論理和と論理積を交換することの関係を表してる」
ユーリ「へー」
僕「ド・モルガンの法則はいろんな書き方ができるけど、
たとえばこんなふうに書ける。
ド・モルガンの法則
命題
このことを
ユーリ「へ?」
僕「何が『へ?』なの? ユーリが発見したことと同じになってるよ」
ユーリ「お兄ちゃん得意の数式が出てきたけど、 これってユーリが言ったことと同じなの?」
僕「同じだよ。ユーリは
ユーリ「まーね」
僕「
ユーリ「そっか……」
僕「そういうつもりでもう一度式を読んでごらんよ」
ユーリ「じー」
僕「ね?」
ユーリ「なーるほど! わかった。ほんとだ。
左辺の
僕「そうそう。それで正しく式を読んでいるよ。
左辺
ユーリ「……両方とも、
僕「そうだね。ということは、
ユーリ「……」
僕「ド・モルガンの法則はもう一つあるよ。
もう一度
ド・モルガンの法則
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