この記事は『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』として書籍化されています。
登場人物紹介
僕:数学が好きな高校生。
ユーリ:僕のいとこの中学生。僕のことを《お兄ちゃん》と呼ぶ。
ユーリ「お兄ちゃん、インフル治ってよかったね!」
僕「熱出て、たいへんだったよ。《変幻ピクセル》イベントはどうだった?(第103回参照)」
ユーリ「ミルカさまが来てなくて残念だったけど、すんごく楽しかった! あのね、 ミルカさまもインフルだったんだって。流行ってんだね」
僕「ああ……そうだろうね」
ユーリ「ミルカさまはいなかったけど、テトラさんとリサ姉が案内してくれたんだよ」
僕「うん(リサ姉?)」
ユーリ「リサ姉って、あんまりしゃべんないけど、とっても親切なんだよ。知ってた?」
僕「そうだね。世話好きみたいだよ。どんな展示だった?」
ユーリ「あのね……」
ユーリはあちこち話を脱線させながらも、 双倉図書館でのイベントを説明してくれた。
僕「それはおもしろいなあ。スキャナとフィルタとプリンタ」
ユーリ「そんでね、リサ姉からコンピュータのこと、 たくさん教えてもらっちゃった。お兄ちゃん、詳しくないでしょ。 今日はユーリがコンピュータの計算について教えたげるよ。 資料ももらってきたし」
僕「それはそれは。今日はユーリ先生の講義か……」
ユーリはトランプくらいの大きさのカードを一枚取り出した。
ユーリ「そんじゃ、お兄ちゃんにクイズ! これ、なーんだ?」
カード1(これ、なーんだ?)
僕「いやいや、このくらいは僕も知っているよ。
これは
ユーリ「ほー」
僕「だから、このカード1は
ユーリ「お兄ちゃん、計算速いね」
僕「確かに、
僕の解答
これは、
ユーリ「ふふん!」
僕「え、違うの?」
ユーリ「加算してるってのは正解でーす。
でも、
僕「え? ちょっと待った。検算する……いや、合ってるよ。ほら」
ユーリ「はーい、これは確かに合ってまーす。
でもね、お兄ちゃん。
僕「
ユーリ「
ユーリの解答
これは、
僕「
ユーリ「リサ姉は表を作ってくれたよん。
カード2(
僕「符号無しと符号付き。符号無しの方はいいけれど、 符号付きは……これは、どういうルールなんだ?」
ユーリ「ルールって?」
僕「リサちゃんがこの表をくれたんだろ?
ユーリ「あー、ま、そだね。それはさー……」
僕「いや、大丈夫。表があるんだから、考えることができる」
問題
カード2の《符号付き》は、 どういうルールでビットパターンと整数を対応付けしているのか。
ユーリ「お兄ちゃんは、いろんなとこから問題見つけんだね」
僕「……」
ユーリ「はいはい、思考モード全開中……」
僕「なるほどね。カード1に出てきた
ユーリ「何で?」
僕「ほら、《符号無し》の方では
ユーリ「だから、そーゆー話してたんだけど」
僕「お兄ちゃんが感心しているのは、いまのような加算が、
この表のどの二つの数を使っても成り立っているということに対してなんだよ。
たとえば、
ユーリ「
僕「そして、カード2の表を見てみる」
ユーリ「ふんふん」
僕「確かに、《符号無し》では
ユーリ「リサ姉は『ただし、オーバーフローに注意』って言ってたよ。咳しながら」
僕「オーバーフロー?」
ユーリ「うん、ほら、《符号無し》だと
僕「そうか。たとえば
ユーリ「
僕「
ユーリ「意味って?」
僕「ほら、
ユーリ「そだね」
僕「いや、両方とも理屈に合ってる! 《
ユーリ「
僕「そうだよ。
ユーリ「《符号無し》はいいんだけど、《符号付き》の方はどうなったの?」
僕「うん、たぶん、数式で表せると思うよ。
ユーリ「そだね」
僕「だから、問題は、左端のビットが
ユーリ「……」
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この記事は『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』として書籍化されています。
書籍化にあたっては、加筆修正をたくさん行い、 練習問題や研究問題も追加しました。
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